アースダイバーの道 〜序の口

『アースダイバー』(2005年/中沢新一)講談社
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これからしばらく不定期便で『アースダイバー』の話をしますね。

中沢新一氏の書くものは、どんなに学術思想中心の内容であっても、
ふんだんにエロスが溢れていて、ページを繰るごとにエキサイティングで、
読むエクスタシーに満ち満ちている、と思っています。

もちろん好き嫌いはたくさんあるでしょう。
でも、あんな小難しい本たちが、多くの人たちの中に、それだけ大きな感情的な
うねりを生み出すこと自体が凄いと思うのです。
(学術的な裏付けが、などおっしゃる方は、静かに他所へおゆき下さいまし)

さて。『アースダイバー』のこと。
もともとは週刊現代の連載だったということもあり、かなり柔らかく、色っぽく、
想像力が彼方まで飛翔しちゃうようなおハナシ仕立てになっています。

が、その基になっている理論はこんな感じで、とーっても「地学」です。

縄文海進期、という時代の東京あたりの土地は、
「洪積層(こうせきそう)」という堅い土の高台と、
その当時はまだ水の底にあった
「沖積層(ちゅうせきそう)」という砂の多い地層とがあったそうで。

つまり、現在の東京の大部分は(特に東側)ほぼ海の底、だったというわけ。
(上野、お茶の水、霞ヶ関、芝公園、品川あたりより東はもう海だ〜)

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薄茶色部分が陸地で、青部分が海。
わかりにくいかと思いますが、都内の相当な部分が海や川の底です。

で、中沢先生はこうおっしゃるわけです。

=== P14〜15より引用 ===
どんなに都市開発が進んでも、ちゃんとした神社やお寺のある場所には、
めったなことでは手を加えることができない。
〜中略〜
そして、そういう時間の進行の異様に遅い「無の場所」のあるところは、
きまって縄文地図における、海に突き出した岬ないしは半島の突端部
なのである。縄文時代の人たちは、岬のような地形に、強い霊性を感じて
いた。そのためにそこには墓地をつくったり、石棒などを立てて神様を
祀る聖地を設けた。

そういう記憶が失われた後の時代になっても、まったく同じ場所に神社
や寺がつくられたから、埋め立てが進んで、海が深く入り込んでいた入り江
がそこにあったことが見えなくなってしまっても、ほぼ縄文地図に記載され
ている聖地の場所にそって、「無の場所」が並んでいくことになる。

東京を歩いていて、ふとあたりの様子が変だなと感じたら、この縄文地図
を開いてみるのである。
するとこれは断言してもいいが、十中八九そのあたりはかつて洪積層と
沖積層のはざまにあった地形だということがわかる。
=== 引用終わり ===

※ なぜ岬が特別な意味を持つかという理由は、また改めて説明します。

ひゃあーーー!!!
なんともスケールの大きなハナシじゃありませんか。
むちゃむちゃおもしろい。

さらに。

これだけでもじゅうぶんにおもしろかったんだけど、ワタシが完全にこの論に
ノックアウトされる理由は、まだまだあるのでした。

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ちょっと見づらいとは思いますが、この地図は神田川と善福寺川の流域図です。
「アースダイバー」最初の概論は、中沢先生が実際に神田川を歩いた話です。

なんとー。うちのすぐ近所じゃん♪ (ここは、ちょうど赤い印のあたりです)

ご存知の方も多いとは思いますが、実はここ、善福寺川と神田川の合流地点から
すぐそばのロケーションです。
ごくごく近所は新興宗教の本部で、立派で巨大な建物があるくらいなので、
きっと何かの意味があるのだろうとは思っていましたけど、、、なるほど。

このあたりにずっと住んでいた祖母が、昔からこう言っていたのを思い出します。

「ここはね、方南町って言うより前は、峯(みね)って言われてたんだよ。
 ここは高台だから、川が氾濫してもここまで水が来ることはない。大丈夫」

って。
そうだったのかーーー。

確かに今でもここから近いバスの停留所は「峯」です。
(方南町、というバス停は他にあるのです。)
いま中学校になってる土地は、遺跡の場所です。(他でもよくあるでしょう)

とか、、、

驚きと好奇心に溢れかえって、当時のワタシは時間を惜しんでは、ごくごく
近所からはるばる遠くまで、とにかく行ける限りの場所に行きまくって、
ひたすら歩きまくりました。

つくづくスリリングでおもしろかったなー。
他人が言ってるのにつられるだけの「パワースポットブーム」じゃなくって、
地図と自分のセンサーを頼りに探し歩くパワースポット巡りでありました。

そんなことをふと、なんとなーく思い出しまして。。。

振り返りつつ、新しくもう一度歩いたところなど、レビューしてみます。
とりあえず次は、自分の足で行く「神田川上流編」の予定です。
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by tamayura_tamayura | 2010-04-23 15:36 | アースダイバーの道
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