アンダーグラウンド

『1Q84』、むちゃくちゃ売れてるそうですね。
発売当日に即買して、とっくに読み終わってしまったのだけれど。

ものすごーくストイックで、静謐な空気。
まさにバッハの平均律みたいに、完璧に練り上げられつつ、さりげなく自然な構成。
これまでの作品として積み上げてきたであろうさまざまなことが、いろんな部分に惜しげもなく投入されているかんじ。小説でなければ、フィクションでなければ、できない表現だよなー、と思う。

なーんかよかったなー。すきだなー。
出てくる人たちがみんな、適当に生臭く色っぽく、適当に真面目でちゃんと生きていて、まったく押し付けがましくない。けっして一筋縄ではいかない。ぶれないかんじ。

単純な結論を導き出すことを良しとせず、
曖昧さを曖昧なまま保持していく強靭さ。
絶望的とみえるような暗さの中に、
どこか月明かりが差すような薄明るい希望とか。

あ、1Q84年には、月は2つ出ているんだったね。


===
主人公のひとり、スポーツインストラクターで、殺し屋の「青豆さん」という女性は、ハードで究極的なストレッチ&マッサージの技術の持ち主。その鋭敏な触覚で相手の急所を探り出し、尖った針の一撃で死をもたらす、というキャラです。
ワタシにとっては、もうたまらない魅力です。うわぁ~~~。むっちゃ魅惑的です。(いったい頸のどの辺りを狙ってるんだろうなぁ~?! とか、ひそかに自分の頸を探らずにはいられない単純なワタクシ。うぷぷ。。。まぁ、現実的にはたぶんきっと絶対無理だと思うよ。みなさまご安心召されよ)
===


・・・ そんななか、いま読んでる最中なのは『アンダーグラウンド』なのでした。

村上春樹氏による、地下鉄サリン事件の体験者たちへの聞き書きドキュメンタリー。
『1Q84』の底流に、色濃く反映されている新興宗教の影、これを村上氏がどうやって自分の中に取り入れて咀嚼してアウトプットしたのかを知りたくなったから、なのですが。

でも、そんな軽い気持ちは簡単に跳ね返される。
その場に居合わせた人々にとっては、本当に理不尽でしかない出来事とその顛末。
本当に、重い。

1995年のこと。阪神・淡路大震災、オウム事件。
あの当時のことは、なんだかずいぶんはっきり覚えています。
私は航空会社の国際線コールセンター最前線で、契約社員、という名のアルバイトをしていました。私の履歴は猛烈にぐちゃぐちゃですが、その中でもいちばんの暗黒時代、であります。

ということで、しばらくは、1995年 『アンダーグラウンド』の世界に潜入します。
どこまでもずぶずぶと入り込まなくては、とても読了できそうにない本です。


ではまた。
さきほどゲットした、ヤナーチェックの『シンフォニエッタ』を大音量でかけつつ。






ついでに。

約20年前の作品である、『ノルウェイの森』も、読み返しました。
もう全然忘れていたと思っていたけれど、
友人と、彼女が順番に死ぬ話、という記憶は正しかった。That's all.

38歳の僕、が20歳のころを思い出す、という設定だけにはついていけたけど、
正直なところ、あとはもう全然ダメでした。。。 

主人公たちが、高校生→大学生という設定だからなのでしょうけれど、
生臭くて、はっきりしなくて、宙ぶらりんの虚無感。
当時は自分も同じくらいの年代だったから、入り込めるものがあったのですが、
現状ではもう無理です。読んでるあいだに具合悪くなってしまった・・・(汗)

あの時代の空気だけは、はっきり思い出せましたけれどね。
要するに、当時はバブルな時代で、ノーテンキで明るいことが良しとされていたはず。
だから、あの妙な暗さや湿っぽさが、逆に新鮮だったのかもしれない、と思います。

いまどきの20歳くらいの子たちは、『ノルウェイの森』を読んでどう思うんだろう?
ってことには、ちょっと興味あったりはしますが。


ま、個人的には、20年経った『1Q84』の登場人物たちがまとう現実感と空気感と、極限まで削ぎ落とされたストイックなスタイルの方がずっと好きです。

なんにせよ、村上氏は一貫して、「モノガタリの力」を信じて、自分の力を尽くしているのでしょうね。「モノガタリ」を裏づけて、多層性を持たせて、より多面的に色づけ、肉付けされてきた20年後の作品が、『1Q84』として表現されているあたり、なんともいえない不可思議な魅力だと思います。

以上。
[PR]
by tamayura_tamayura | 2009-06-24 21:50 | 雑談
<< 柔らかなココロ A DAY IN THE LIFE >>