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『ショック後の心身ケア』〜共感的理解について覚書

おはようございます。たくさんの方々にアクセス頂きました。
いろいろな方から、コメントやメールを頂きました。
みんな不安で、だけど頑張ってるよ!って、よくわかりました。
ありがとうございます。私もできることからがんばります。

今日から輪番停電が始まりますね。
交通機関も相当に乱れています。お出かけになられる方々、
くれぐれもご無理のないよう、気をつけて!

===

カウンセリングの基本技術として「反射」という技法があります。

「私は辛いんです」
と、訴えかける人に対して、
「辛いでしょう。わかりますよ」
とは、決して言いません。

だって、その人の本当の辛さなんて、わからないじゃないですか。
わかる!と言うのは、自分の主観でしかない。
本当にわかったかどうかは、確かめようがない。

でも、目の前に、とても辛くて悲しくて苦しんでいる人がいたら、
そのことにはやはり何らかの反応が自分の心に生まれませんか?
だから、「反射」ではこう言うのです。

「私は辛いんです」
と誰かに言われたら、こう答えます。
「そうですか。あなたはお辛いんですね」と。
相手が言ったことを、そのまま、繰り返す。
言葉を言い換えたりしてもいいけど、とにかく繰り返す。
「あなたが辛いってことが、私にはわかりますよ」と。

これが「反射」の技法のごくごく基本です。

あまりにも簡略化した説明なので、ツッコミどころ満載ですが…
とにかく、そういうことです。

よけいなアドバイスなんか要りません。(訓練を受けた人や
専門的な話でないかぎり、むしろ有害なことも…)
問題解決なんてしようとしなくていいです。
簡単に解決出来ないことだからこそ、苦しいんですから。

とにかく「辛いんだね」って受け止めて、一緒にそこにいる。
それが基本です。
よけいなことを言いたくなるのは、自分の不安やエゴのせい。
静かに相手の気持ちを受け止めてみて下さい。
これ、別にトラブル時だけの話じゃないです。
ふだんの生活で、人の話を聞くときにもとても役立ちますよ。

自分には無理だと思ったら、静かに離れる。それしかないです。

***

ゆうべ、仲の良い友人がメールをくれました。
「被災地の様子を見て、何もできない自分の小ささを感じて、
 参ってしまっていたけれど、池内ひろ美さんのブログを読んだら、
そうか!そういうことなんだ、って少し元気が出た」
というような内容でした。(無断で紹介したー。ごめん!)

そのように彼女の心を動かしたのは、『震災ストレス』記事の
この部分でしょう。

=== (以下引用) ===

失われた命に対するいたみ、死者、負傷者の人数が増えていく
ことへのおそれ、寒さなどの体感温度、さまざまなことが今後
起こってきます。避難所生活を送られる方々の不自由さはもち
ろん、自宅で生活していても避難所生活を送る皆様のお気持ち
を考え心傷めるのが人の優しさですが、その優しい心がすべて
ストレッサーつまりストレス因子となります。

それは、「私の被害は小さかった」「もっと酷い状況に置かれ
ている人たちがある」「それなのに私は何もしていない」「私
は何の役にも立たない人だ」という、非日常だからこそ覚える
感情がストレッサーとなりかねません。
 
=== (引用終わり) ===


メールを下さった彼女は、とても感受性が強くて思いやり深い
優しい心の持ち主です。(水のグランドトライン持ち。わかる
方は、そうだろうなー!って、想像して下さいね ^^)

彼女ほど共感力が強い人でなくても、あれだけの惨状を見れば、
誰しも激しく心が揺さぶられるのは間違いありません。
でも、被災地の人たちと東京の自分とは、やはり別の人間なのです。

「被災地の状況に心を痛めながらも、自分は自分として、
いま目の前の出来ることを精一杯がんばる!」

と、彼女のメールは締めくくられていました。
私もなんだかとっても元気づけられました。ありがとう!

***

いろいろ書きたいことはありますが、まずはいちばんの基本点。
『共感的理解』についてです。

「共感」は人間にとって大事な能力です。
例えて言うなら、人間をひとつの円として考えてみたとき、
円と円の一部が重なり合って、自分と他者との区別がつかなく
なるような状態を「共感」と呼ぶのではないでしょうか。

円と円が、完全に重なり合うことはありえない。
でも、部分的に重なりあうことはある。それが共感。
だからといって、共感によって、すべてひとつに融合はできない。

すこし引いて見れば、「つらいあなた」と「それを感じる私」
が居て、私が感知できるのは「あなたがつらいってことを、
一緒に感じてる私」であるわけです。

ただただ「共感」するだけでなく、「共感的理解」という概念、
これをちょっともう少し踏み込んで考えてみたいと思っています。

あとは、もっと具体的に使える身体技法の話も書かなきゃだね。
あーいそがしいっ。忙しいのは幸せなことだよね。

***

被災地にご家族や友人がいて、連絡が取れない方々のお話もたくさん
伺っています。
とにかく祈るしかないのですが。一緒に祈ります。

ではまた午後書きます!
みなさん元気で、きょうも一日頑張りましょう^^
# by tamayura_tamayura | 2011-03-14 09:18 | ショック後の心身ケア

『ショック時の心身ケア』 まずは日常生活を!

***
『サイコロジカル・ファーストエイド実施の手引き』兵庫県こころのケアセンター
http://www.j-hits.org/psychological/index.html
現在の私たちが役立てられそうな部分を抜粋してご紹介していきます!
***

あちこちからコメントいただいています! ありがとうございます。
「そうなの!私も怖いんだ!」って、みなさんおっしゃってます。
そうなんですよね。私も実は怖い…
怖さをなんとかプロ根性に置き換えて、
こうやって書き続けています。みんな怖いんだ。大丈夫。がんばろう!


◇ ストレス反応が生じたときの適切な対処行動(p.45-46)

○ 誰かに話して支えてもらう
○ 必要な情報を得る
○ 適度な休養、栄養、活動
○ 建設的な気晴らしをする(スポーツ、趣味、読書など)
○ できる範囲でいつものスケジュールを維持するように努める
○ しばらく動揺するのは当たり前だ、と自分に言い聞かせる
○ 楽しいことを計画する
○ きちんとした食事をとる
○ 休みをとる
○ 誰かと一緒に時間を過ごす
○ サポートグループに参加する
○ リラクセーション法を用いる
○ 自分自身とゆっくり対話をする
○ カウンセリングに行く
○ 日記をつける
○ 状況をよくするためにいますぐできる、何か現実的なことに集中する
○ 過去にうまくいった対処法をやってみる


◇ ストレス反応が生じたときの不適切な対処行動(p.46)

○ 苦しさを紛らわすために、アルコールや薬物を用いる
○ ひきこもってじっとしている
○ 家族や友人とのつきあいを避ける
○ あまりに長時間働く
○ 怒りを爆発させる
○ 自分や他人を過度に責める
○ 食べ過ぎる、あるいはきちんと食べない
○ 長時間テレビをみる、あるいはゲームに没頭する
○ リスクや危険のある行為をする
○ 自分のからだを粗末に扱う

<以上、原文まま>


いかがでしょうか???
すでにあちこちで言われていることと同じですよね ^^

人のために役立とうにも、まずはご自分自身が元気でしっかりして
いなければ、なにも始まりません!
そこからはじめましょう。

周囲の人とのコミュニケーションのあり方や、ショックを受けている
お子さん方との接し方などについては、今晩またよーーーく考えて、
明日以降順次UPしていきますね。

いまはあんまり遅くまでテレビやパソコンつけてないで、さっさと
寝て、気力体力を温存することが大事かと思います。
会社勤めの方々は、明日はご出勤でしょうしね。
明日から輪番制の停電も本格的に始まるようです。

というわけで、続きはまた明日。
みんな元気に笑顔で、明日またお目にかかりましょう ^^!
# by tamayura_tamayura | 2011-03-13 21:42 | サイコロジカルファストエイド

『ショック後の心身ケア』大丈夫!正常な反応だから

私の治療院には、金曜の地震のあとからも、ほぼ変わらずに
いつもどおりの方々がおいでになられています。

でも、みなさん身体はガチガチに緊張していました。
それはそうでしょう。当たり前の反応だと思います。

夜中までかかって遠距離を歩いて会社から帰ったり、
慣れない会社に泊まったり、めちゃめちゃになったご自宅を
片付けたり、会社の社員の安否確認作業に追われたり、
帰れなくなった生徒さんたちを保護して学校の体育館に
泊まり込んで引率したり。。。いろいろいろいろ。

おまけにいまも繰り返し余震は続いているわけで。
そんな非常事態の中、ゆるんで気力体力充実しているはずがない。

めまいがしたり、耳鳴りがしたり、足元がふわふわしたり。
眠れなかったり、食べられなかったり、怒りっぽくなったり、
不安に襲われたりするのは、生物として当然の反応です。

やみくもに症状や不安に振り回されるのではなく、まずはちょっと
引いたところから、自分の状態を確認してみてはいかがでしょう?

「ああーーー。。。私ずいぶん緊張してたんだな。怖がってるな」

これは、金曜の仕事が終わったときの、私の偽らざる感想です。
いまもやはり、ゆるんだ状態とはほど遠い。
でなきゃ、こんな勢いで文章を書き続けることはできませんって(笑)

不安を否定したり、押し込めたりするのではなく、
まずは「ああーーー。。。怖がってるんだな、自分」ってところを
認めて下さい。だって、みんな怖いんだもん。私だって怖い。
それをまず認識することが第一歩です。

ご家族や周囲の人と、ゆっくりお話をしてみましょう。
できるだけ否定的な表現を控えて、前向きなテーマで話しましょう。
ゆっくりと話すように心がけるだけで、違ってきます。

一人暮らしやひとりの時間が多い人の方が、明らかに緊張度が高くて、
緊張した身体の様子になっています。
できる限り、周りの人とつながりを保って下さい。
ニュースばかり見ないで、好きな音楽や映画を楽しむのもいいですね。

さて。続きはまた夜に書きます。
# by tamayura_tamayura | 2011-03-13 16:18 | ショック後の心身ケア

『ショック後の心身ケア』交感神経と副交感神経

自律神経、という言葉はみなさんご存知ですよね?
ごく簡単に言えば、こういう仕組みです。

交感神経:活動、緊張の作用
副交感神経:休息、弛緩の作用

いまのような非常事態下では、誰もが交感神経優位の状態になっています。
交感神経が優位のときは、緊張状態のとき。
視覚が優位になり、心拍数や血圧は上がり、呼吸も活発になる。
汗が出やすくなる。消化活動や排泄運動は低下する。
つまり、身体を戦闘状態!にするのが交感神経です。
飲んだり食べたり、眠ったり、リラックスするには適していません。

しかしながら、常に交感神経優位の状態では、さまざまな弊害があります。
人間には必ず休息が必要です。
休息時に働くのは副交感神経。これがうまく働かないと、傷んだ箇所を
修復したり、リセットするための睡眠や休息がうまくとれなくなります。
意識的に副交感神経を優位にするべく、いろいろ試してみましょう!


○ 呼吸を意識的にゆっくりと深くする

あおむけで行う腹式呼吸がベストです。いろいろなメソッドがありますが、
深く考えずに、おへその下あたりに両手を重ねて当てながら、ゆっくり
呼吸に意識を向けてみましょう。吐く息だけに集中します。
吐けるだけ吐ききったら、自然に息は吸い込まれてきます。
(過呼吸の人は、無理せずあんまり真剣にやらない方がいいでしょう)
おへその下(丹田/たんでん)がぐーーーっと盛り上がってきますよね。
吸いきったら、ちょっと止めてみる。そこから吐き出すとわかりやすい。
吐く息を数えてみたり、ただただ吐く息にだけ意識を向けます。
吐く息に色などをイメージ出来る人はそれもいいかもしれません。

うつぶせの方が落ち着く人は、うつぶせでやってみるのもいいですね。


○ 胃腸や手足を温めてみよう

手浴をしたり、足元に湯たんぽを入れてみるのもおすすめです。
ゆっくりと暖かい飲み物を飲むのも良いです。(コーヒー不可!理由はそのうち)
交感神経優位のときには、手足が冷えます。ですから、逆に物理的に
暖めてあげるのです。
みぞおちのあたりや、丹田のあたりを暖めるのもいいね。
うつぶせになって、ウエストラインの少し上(腎臓のあたりです)を
暖めるのも良いと思います。

呼吸も同時にゆっくりとしてみましょう。大丈夫。
暖かい色合いや風合いを自分の身体の周囲にイメージしてもいいですね。


○ とりあえず目を閉じる。身体を横にする

熟睡できなくても、身体を横にするだけでも身体は休まります。
目を閉じるだけでも、視覚情報が遮断されるので脳は休まります。
ただし、いろんなことをぐるぐる考えてはダメです。
→いろんなことを考える余地をつくらない為に、呼吸に集中する
ことをお勧めします。昔から伝えられている伝統的なメソッドです!


○ 自分の身体を丁寧に触ってみよう

自分の顔、手足などをさすってみましょう。自分の身体って、案外
自分自身ではちゃんと意識出来ていないものです。
自分皮膚の感じはどうかな? 乾いてる?あぶらっぽい?
きめ細かい? 手はどうかな?膝下はどうかな?
形はどうだろう? 自分の骨格ってどんな感じなんだろう?

ふだんは、そこにあることも忘れがちな自分の身体。
いまいちど、丁寧に触って、確かめていきましょう!
これだけでも、全然変わってきますよ。約束します。

私は眠れないときには、あおむけのまま足の指をかなり強めに
つまんでマッサージするのがいつもの習慣です。
ご自分の足の指なんて、ちゃんと意識して触ったことない人が大半
だろうと思いますが、これはかなりお勧めできます。
自分の手でつまむ分には、思いっきり痛くして大丈夫!(笑)

そもそも今、みんな頭を使いすぎて、俗にいう「頭に血が上った」
状態になっているはずです。
だったら、足元に下げれば良いのです。足元を意識しましょう。
昼間だったら、近所をお散歩するのもいいアイデアですね☆

昔から「頭寒足熱(ずかんそくねつ)」と言われています。
頭は涼しく、足元は暖かくするのが、身体の基本です。
物理的に、頭を冷やしてみるのもいいアイデアです。
(首は冷やさない方がいいです!髪の毛が生えてる部分を冷やそう)

まずはご自分でできることから。
ご家族や周りの人ととも、ぜひシェアしてみてください!

食事と睡眠は健康の基本中の基本です。
みなさま今夜よく眠れますように。
# by tamayura_tamayura | 2011-03-13 15:52 | ショック後の心身ケア

サイコロジカル・ファーストエイド実施の手引き

臨床心理士以外にも役立つ知見が含まれていますので、ご紹介します。

原本は、基本的には専門家向けで、PDF形式100ページ近い内容です。
このブログでは、その内容から一般の方々にも役に立ちそうな部分を
抜粋してご紹介しています。

『サイコロジカル・ファーストエイド』
http://tamayura10.exblog.jp/i13/


*** 原本は下記のURLからダウンロード出来ます ***

兵庫県こころのケアセンター
サイコロジカル・ファーストエイド実施の手引き
http://www.j-hits.org/psychological/index.html

===
災害発生直後(直後~4週間程度)の時期に推奨される心理的な支援法は
「サイコロジカル・ファーストエイド」です。
サイコロジカル・ファーストエイドは、治療を目的とした介入法では
ありません。被災者に関わるすべての支援者、救援者にとって必要とされる
基本的態度と、被災直後の苦痛を和らげるための介入方法をまとめたものです。
===

===
特別な治療法のマニュアルではありません。
少しの知識があれば誰にでもできる、こころのケガの回復を助けるための
基本的な対応法を、効率よく学ぶためのガイドです。それぞれのご専門、
お立場、ご経験、あるいは現場のニーズに応じて、必要な部分だけを
取り出して学んだり、使ったりすることができます。
精神保健の専門家の方はもちろん、災害や事故の現場で働く可能性のある
一般の方々にも、学んでいただける内容です。
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# by tamayura_tamayura | 2011-03-13 11:02 | サイコロジカルファストエイド